
AI時代の人事戦略:ヒトとAIを活用して強い組織を作る方法
-
いまぜき
2025年6月18日
はじめに
AI(人工知能)が急速に普及し、人事の現場でも大きな変化が起きています。直近は"AI活用"が人事のキーワードとなり、多くの企業がAIを使って業務を効率化し、新しい価値を生み出そうとしています。
一方で、AIが進歩するほど「人間らしさ」や「創造性」を伸ばす人材育成の大切さも注目されています。AIと人材育成は対立するものではありません。うまく組み合わせることで、他社に負けない強い組織を作ることができるのです。
この記事では、AI時代の人事戦略について、具体的な事例やデータをもとに分かりやすく解説していきます。
AI導入で人事業務はどう変わる?
AIが採用活動を大きく変えています。現在、企業の17%が人事部門でAIを活用していて、2024年には30%まで増えると予測されています。

どんなところで活用されているのか?
これまで人事の方が何時間もかけて見ていた履歴書や職務経歴書を、AIがたった数分で判定できるようになりました。経験年数やスキルのマッチング度を自動で計算し、選考の精度を上げながら作業時間も大幅に短縮しています。
2. 面接評価を統一
AIツール「SHaiN」を導入した企業では、面接官によって評価がバラバラになる問題を解決できました。評価基準が統一され、結果も見える化されるため、人事部の負担も減りました。「評価のブレがなくなった」「面接結果の根拠が残る」「正確なフィードバックができる」といった効果が見られているようです。
3. 応募者の負担も減少
チャットボットが24時間質問に答えたり、AIが面接の日程調整を自動で行ったりすることで、応募者にとっての負担やタイムラグを減らすことで、結果として、優秀な人材を獲得しやすくなっています。
人事評価・配置がもっと客観的に
データを活用した人材配置の実例
明治安田生命保険は、2024年度までに約1万人の社員を対象に、AIを使った人事異動を実施すると発表しました。AIが一人ひとりの適性や能力を分析して、最も適した配置や組織構成を効率的に提案することで、生産性の高い組織づくりを目指しています。
・AI活用による具体的な成果
・将来成果の予測精度: 85%以上
・離職予兆の早期発見: 6ヶ月前にキャッチ
・適材適所の実現: マッチング精度40%アップ
AI時代だからこそ必要な人材育成とは?
AIが定型的な作業を代わりにやってくれる時代だからこそ、人間にしかできない能力を伸ばすことがより大切になっています。

特に重要なスキル
AIでは対応が難しい複雑で曖昧な問題に対処する力です。謎解きやゲームを使った研修で、論理的に考える力と創造性を同時に鍛えることができます。
2. コミュニケーション能力
様々な人と調整したりする力です。チームビルディング研修を通じて、お互いを理解し協力し合う力を深めることが重要です。
3. デジタルを使いこなす力
AIツールを効果的に使うための基本的な知識です。単に操作方法を覚えるだけでなく、AIの特徴を理解して適切に活用する判断力が求められます。
効果的な人材育成の進め方

ある小売業では、AI研修を導入して店舗の売上データを分析するスキルを社員に身につけてもらいました。その結果、在庫管理が最適化され、マーケティング施策も改善されました。
理論だけでなく、実際の業務データを使った分析や、問題解決型のワークショップを取り入れることで、実際に使える力を効果的に身につけることができます。
2. 段階的にスキルを積み上げ
人材育成には時間がかかります。3年程度の時間をかけて、焦らずじっくりと進めることが大切です。短期間で結果を求めるのではなく、長期的な視点で継続的に学習機会を提供することが重要です。
3. 一人ひとりに合わせた学習プログラム
AIを活用して、個々の社員の学習の進み具合や理解度を分析し、その人に最適な学習内容を提供する仕組みを作ることが効果的です。
AIと人材育成をうまく組み合わせるコツ

技術導入と人材育成を同時に進める
- AI導入の各段階で必要なスキルをはっきりさせる
- 社員の不安を解消するためのコミュニケーション戦略を立てる
- 新しい役割や責任に合わせたキャリアパスを設計する
社員を巻き込んだ変革プロセス
- 社員を変革の主役として位置づける
- 現場からの改善提案を積極的に取り入れる
- 成功事例を社内でシェアして学習効果を最大化する
2. 継続的に学ぶ文化を作る
組織全体で学ぶ仕組みづくり
- 定期的にスキルギャップを分析する
- 部署を超えたプロジェクトチームを編成する
- 外部の専門家と協力して最新知識を導入する
自ら学びたくなる環境づくり
- 個人の興味・関心に基づく学習機会を提供する
- 自分で学習を進めるためのリソースを充実させる
- 学習成果を評価や報酬に反映する仕組みを作る
3. 効果を測定して改善し続ける

- スキル習得度を客観的に測定する
- 業務パフォーマンスの変化を追跡する
- 社員の意識変化を定期的に調査する
PDCAサイクルをしっかり回す
- 3ヶ月ごとに効果を検証して課題を抽出する
- 成功パターンを標準化して他部署にも展開する
- 外部環境の変化に応じて戦略を柔軟に見直す
人とAIが一緒に働く組織を作る
・人とAIの役割分担を明確にする
AIが定型的な業務を担当し、人間は創造的・戦略的な業務に集中するワークフローを設計することが重要です。人とAIの最適な役割分担を決めて、継続的に見直すプロセスが必要です。
・スキル重視の組織に変わる
従来の役職中心の組織から、スキルと専門性を軸にした柔軟な組織へと変わっていきます。プロジェクトごとにチームを組んだり、複数の専門性を持つ人材を育成したりすることが重要になります。
持続可能な成長戦略
個人と組織の成長を同じ方向に
社員個人のキャリア目標と組織の戦略目標を一致させることで、お互いの利益を最大化します。個人の成長が組織の競争力向上に直結する仕組みづくりが重要です。
イノベーションを生み出す仕組み化
AIとの協働により生まれる新しいアイデアや改善提案を、組織の財産として蓄積・活用する仕組みが必要です。失敗を許容し、挑戦を応援する文化を作ることが欠かせません。
まとめ:効率化と人材育成の両立で競争に勝つ
AI時代の人事戦略で最も大切なのは、技術による効率化と人材育成を対立するものと考えるのではなく、お互いに良い影響を与え合う関係として設計することです。
AIが得意な定型業務の自動化や大量データの分析で業務効率を上げる一方で、人間にしかできない創造性、共感力、問題解決力を育てることで、組織全体の価値創造能力を高めることができます。
AI時代においても「人」を中心とした持続可能な組織運営ができるようになります。技術と人間の最適な協働により、これまでにない価値創造と競争優位の確立を実現していきましょう。
企業研修・チームビルディングでお悩みの方へ
謎解きを活用した研修は、AI時代に必要な創造性や問題解決力、チームワークを楽しみながら育成する効果的な手法です。aso-bizでは、企業様のニーズに合わせた謎解き研修プログラムを提供し、従業員のエンゲージメント向上とスキル開発を同時に実現します。
AI導入と並行した人材育成にご興味がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。貴社の人事戦略を成功に導くお手伝いをさせていただきます。
この記事を書いた人
-
いまぜき