
DEIBとは?多様性・公平性・包括性・帰属意識で企業競争力を高める方法
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いまぜき
2025年6月24日
はじめに
最近、人事や組織運営の分野で「DEIB」という言葉を耳にすることが増えてきました。従来の「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」から進化した概念として、多くの企業が注目し始めています。
DEIBは単なる「多様性推進」を超えて、すべての従業員が「ここが自分の居場所だ」と感じられる組織づくりを目指す考え方です。
この記事では、DEIBの基本概念から企業への具体的なメリット、実践方法まで分かりやすく解説します。
DEIBとは何か?
DEIBの定義
DEIBとは、以下4つの要素の頭文字を取った概念です:

従来のD&Iとの違い
従来のD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)に「Equity(公平性)」と「Belonging(帰属意識)」を加えたのがDEIBです。特に「Belonging」は、企業視点ではなく”従業員一人ひとりの気持ち”に焦点を当てた概念として注目されています。

なぜDEIBが注目されているのか?
欧米では「The Great Resignation(大量退職時代)」が社会問題となっています。新型コロナウイルスの影響でリモートワークが普及し、人生観が変化した結果、月間400万人を超える退職者が出ている状況です。
この背景には、リモートワークによる燃え尽き症候群や会社へのエンゲージメント低下があります。そのため、企業は従業員の帰属意識を高めることの重要性を再認識しているのです。
背景2:グローバル競争の激化
企業を取り巻く環境変化が、DEIB推進を後押ししています:
グローバル化の進展
・ 多様な市場への対応が必要
・ 異文化チームでの協働が増加
・ 多様な顧客ニーズへの対応
価値観の多様化
・ 終身雇用制度の変化
・ ワークライフバランス重視
・ 個人の価値観を尊重する風潮
労働力の変化
・ 労働人口の減少
・ 女性・高齢者・外国人の活用
・ 優秀な人材の確保競争
DEIBがもたらす企業へのメリット
●採用力向上
・ 多様な人材プールへのアクセス
・ 求職者にとって魅力的な職場
・ 他社との差別化要因
●定着率向上
・ 従業員満足度の向上
・ 心理的安全性の確保
・ 長期的なキャリア形成支援
2. イノベーション創出と生産性向上
多様な背景を持つ人材が協働することで、新たな視点やアイデアが生まれます。経済産業省の「新・ダイバーシティ経営企業100選」では、多様性推進によってイノベーションが促進された事例が多数報告されています。
具体的な効果:
・ 創造的な問題解決力の向上
・ 市場ニーズへの柔軟な対応
・ チームパフォーマンスの向上
・ 顧客満足度の改善
3. 企業ブランド価値向上
DEIBへの取り組みは、企業のブランド価値向上に直結します:
●社会的評価向上
・ ESG経営の実現
・ 消費者からの信頼獲得
・ 投資家からの評価向上
●市場競争力強化
・ 多様な顧客層への訴求
・ グローバル市場での競争力
・ 持続的な成長基盤の構築
DEIB推進の具体的ステップ
●組織の多様性診断
・ 従業員構成の把握
・ 昇進・昇格状況の分析
・ 離職率・満足度調査
●制度・文化の点検
・ 人事制度の公平性確認
・ 組織文化の可視化
・ 管理職の意識調査
2. 制度・環境の整備
●公平な評価制度の構築
・ 客観的な評価基準の設定
・ 多様な働き方に対応した評価方法
・ バイアス除去のための仕組み作り
●心理的安全性の確保
・ オープンなコミュニケーション文化の醸成
・ 失敗を恐れない組織風土づくり
・ 相談窓口の設置
3. 教育・研修の実施
●管理職向け研修
・ アンコンシャスバイアスの理解
・ インクルーシブリーダーシップ
・ 多様なメンバーのマネジメント手法
●全従業員向け研修
・ DEIB の基本理解
・ 相互尊重のコミュニケーション
・ チームビルディング
成功企業の事例
JTBでは、年齢・性別・人種・経験・文化などあらゆる多様性を尊重し、「新交流時代」を切り拓くためにDEIBを推進しています。
具体的な取り組み:
・ 多様性を価値として捉える組織文化の醸成
・ 公平な機会提供のための制度整備
・ 心理的安全性確保のための環境づくり
ユーザベースの「居場所」づくり
ユーザベースでは、Belongingを「一人ひとりが"自分の居場所がここにある"と感じられている状態」と定義し、クリエイティビティ発揮のための重要な要素として位置づけています。
DEIB推進成功のポイント
●明確なメッセージ発信
・ CEOからの継続的な発信
・ 具体的な目標設定
・ 進捗の透明性確保
●リソースの確保
・ 専任チームの設置
・ 予算の確保
・ 外部専門家との連携
2. 従業員の巻き込み
DEIBは人事部だけの取り組みではありません。全従業員の理解と参加が必要です。
効果的なアプローチ:
・ 従業員の声を聞く仕組みづくり
・ ボトムアップの改善提案
・ 成功体験の共有
3. 継続的な改善
●データ収集・分析
・ 多様性指標の測定
・ 従業員満足度調査
・ 離職率・昇進率の分析
●施策の見直し
・ 効果測定と課題抽出
・ 新たな施策の検討
・ ベストプラクティスの共有
まとめ:DEIBで実現する持続可能な組織づくり
DEIBは、多様性を認め、公平な機会を提供し、すべての人が包括され、居場所を感じられる組織を作るための統合的なアプローチです。
DEIBの推進は、短期的な成果を求めるものではありません。組織文化の変革を伴う中長期的な取り組みとして、継続的に進めることが重要です。
従業員一人ひとりが「ここが自分の居場所だ」と感じられる組織を作ることで、企業の持続的成長と社会全体の発展に貢献していきましょう。
企業研修・チームビルディングでお悩みの方へ
DEIBの推進には、従業員同士の相互理解と信頼関係構築が欠かせません。aso-bizの謎解き研修は、多様なメンバーが協力して課題解決に取り組むことで、自然な形でインクルーシブなチーム文化を育成します。
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いまぜき