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離職を防ぐ1on1の質とは? 年末に見直す“対話設計”のベストプラクティス

辰巳 麻耶
2025年12月11日

「1on1を実施しているのに離職が止まらない」「雑談で終わってしまい、成長につながっていない」
この悩み、管理職研修でもほぼ確実に挙がります。
とくに年末は、組織の目標管理や評価・フォローが重なる時期。
そのタイミングで1on1の質が低いままだと、“評価に対する不満”や“成長実感の欠如”を引き起こし、年明けの離職につながることも珍しくありません。
本記事では、1on1の「ありがちな落とし穴」と、組織活性の観点から見た改善策を解説します。

目次

1. ありがちな課題:1on1が形骸化する理由

多くの1on1を実施する現場の声で聞くのが、次の3つ。

① 議題がないまま始まる

準備不足の1on1は、ただの“近況報告”で終わってしまいます。
若手にとっては、「結局何を話せばいいかわからない」という時間だけが消費される不満につながります。

② 上司が“評価者モード”のまま

部下は「本音を言ったら評価に響くかも」と警戒し、内面の課題・不安を話せずに取り繕った面談になることもしばしば。
上司からすると、「部下が何を考えているのかわからない」といったコミュニケーション齟齬が生じてしまいます。
結果、行動変容につながる対話が成立せずに会話が終わってしまいます。

③ “次の行動” が決まらず終わる

仮に対話ができても、効果測定ができずいざ中長期的な成長・改善の機会になりません。
「今日の会話が何につながった?」と感じさせてしまい、1on1の存在意義自体が疑われかねません。

2. 若手の意識変化

1on1を実施する目的に立ち返りましょう。1on1は、上司と部下が定期的なコミュニケーションを取ることで部下の成長を促し、ひいては会社組織を持続可能な組織として安定させるために導入されます。
つまり、1on1では社員の離職防止のための不満や意見のヒアリングと、成長の次のマイルストーンを話す場として設ける必要がございます。

Z世代という単語は広く使われていますが、Z世代とはSNSが発展した時代を生きるデジタルネイティブ世代です。
SNS文化により、即時評価(共感やいいねなど)・自分らしさの表現が自由になり価値観がアップデートされた層とも言えます。

彼らのビジネスにおける特徴としては

  • “共感できる上司” を求める割合が増えている
    → 「誠実さ」「対話姿勢」「適切なフィードバック」を重視
  • 働く目的は “自己実現・キャリア形成”>“昇給”の傾向が強い
  • 半年以内に自分の成長実感が得られないと不安を感じやすい

といった傾向があります。

HR総研の2024データでも、若手の離職理由上位に**「上司との関係」「待遇」「業務内容のミスマッチ」が会社規模にかかわらず上位を占めています。このことから、1on1は“評価補助”よりもキャリア支援の場**として意味を持たせることで、若手の離職を防ぎ、持続可能な組織運営に寄与します。

3. 効果のある1on1設計

目的や1on1の方針を整理したところで、次に実践編です。
ポイントは、1on1構成対話の態度です。
部下が話しやすい雰囲気づくりが重要です。

① 事前準備:「部下側からのアジェンダ」を必ずもらう

  • 最近の成果・課題
  • 気になっている業務
  • キャリア面の不安

など、事前に部下から話したい・相談したいことをリストアップしてもらいましょう。ここでは事前に聞くことが重要です。
部下は、いざ2人きりの対面になってしまうと言えなくなってしまうということもあります。事前にアジェンダを部下自らの考えで整理してもらうことで、本音に近い意見・相談を引き出すことができます。

② 1on1本番:上司側は“問い”で導く

上司は、若手の意見を引き出すように傾聴を意識しましょう。
普段の業務であれば、ティーチングが効果を発揮する場面も多いですが、1on1ではグッと我慢して、コーチングを意識するようにします。

例えば、部下の相談に対して、「こういう時はこうしたらいいよ!」と経験や答えを即座に出すよりも「どうしたい?」と部下の考えや価値観を問う質問を投げかけます。答えに詰まっても、じっくり考える時間を与えます。

問いの質が変わると、部下の主体性が引き出され、自分から導き出した答えが得られるため、納得感が増します

③ 1on1本番:最後に“行動レベルの約束”をつくる

1on1をたった1回30分から1時間実施するだけで、その場で課題解決や部下のレベルアップするわけではありません。その場で話した「どうしたいか」というビジョンを達成するためのマイルストーンを置くのが上司の仕事です。

  • 次回の1on1までのマイルストーンの設定
  • マイルストーン達成のために部下がやること
  • マイルストーン達成のために上司がサポートすること

を1on1の最後に定めることで、話して終わりにしない、行動変容を起こす導線が完成します。

4. 謎解き研修でわかった“本音を引き出すコツ”

aso-bizの体験型研修は2020年のサービスローンチから1万人以上の受講者を支えてきました。
研修現場で見た経験談をお伝えします。

aso-bizのゲーミフィケーション研修は、Z世代に必要な「即時評価」「共感」の体験を重視して設計されています。問題解決・役割分担・対話が自然と発生する構成になっており、そこで見えてくるのが「質問されないと話せない若手の多さ」です。

研修の中のゲームワーク「謎解きインタラクティブハント」中でも、

  • 困っていても自分からSOSを出さない
  • 役割を抱え込みがち
  • 失敗を共有するのが苦手
  • 発言を遠慮してしまう
    といった場面も研修序盤には見られます。

研修中盤になるとゲームを通じて、チームメイトから発言が受容される、認められる、解答が即時評価される、等の小さな成功体験を積み上げることで、壁がほぐれていき、最終的には心理的安全な場がつくられ、若手の主体的な発言が促されていきます。

aso-biz研修での経験から、対話の場面(本記事の場合は1on1)では「発言をただ待つ」のではなく、「若手が潜在的に求める安心して話しやすい場をつくる」ことが必要です。
aso-bizのゲーミフィケーション研修ほど長い時間や仕掛けはできないかもしれませんが、受容・即時評価などは表情やアジェンダ整理など小さな工夫で代替できます。

5. まとめ

1on1は「実施しているか」ではなく、“対話の質”が重要です。
若手との価値観が大きく乖離していると感じている今、

  • 準備
  • 問いかけ
  • 行動の約束

この3つを押さえることで、離職防止にも成長支援にもつながる施策になります。

aso-bizでは、謎解き要素を使った「コミュニケーショントレーニング」を提供しており、心理的安全な場作りを実践的に学べるのが特徴です。
定期的に無料体験会を開催いたしますので、ぜひ対話の場にお悩みの管理職の方・後輩が入ってくる若手の方はaso-bizのご案内をお待ちください。
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この記事を書いた人

辰巳 麻耶

2016年にジョイン。観光促進を目的とした謎解きイベントの企画・ディレクションに従事。2020年からは、謎解きの「関係性を生み出す力」に着目し教育や組織開発分野へと拡大し法人向けサービス「aso-biz」を立ち上げ、チームビルディングを支援している。強みは“最強のフォロワーシップ”。趣味はアナログゲーム、旅行、日本酒、食べること。