
若手が“動けない理由”はどこにある?年末に見直すオンボーディングの質

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辰巳 麻耶
2025年12月12日
- 年末は“職場の受け入れ体制”を見直す最大のタイミング -
人事担当者や管理職にとって12月は、内定者フォロー・新人教育・既存メンバーの評価など、「人」にまつわる業務が一気に重なる時期です。
その中でも後回しにされがちなのが、オンボーディングの質。
そもそも、オンボーディングは配属後に行われるものとして、どうしても5月6月にいざ人が入った直後だけ、OJT担当者にのみ課される負担だという現場の声が発生しています。
しかし、中途・新卒に関わらず、従業員に対するケアで必須なのは"説明”と"適度な距離感”です。
せっかく意欲高く入社したにも関わらず、“説明不足”により雑に扱われていると感じ、逆に過度な指示は「信用されていないのかな」と受け取られてしまうことになりかねません。
要は、入社後の社員が動けないのは、ヤル気の問題というより、“環境側の未調整”が原因であることが多いのです。
本記事では、今からできる現場の環境調整とオンボーディングの仕組み化について紹介いたします。
目次
1.今の若手の特徴
まず、新卒のオンボーディングについて整理すると、2026年卒の大卒社員は2003年生まれ前後。
彼らは“デジタルネイティブ”の中でSNS文化に触れてきた環境により、「事故りたくない」慎重さが特徴の一つです。
- 失敗を異常に恐れる(炎上のあるSNS文化を身近に感じている)
- 根拠の提示を求める(指示の目的や意図を知りたい)
- 暗黙知に対して強い不安を抱く
つまり、OJTという現場任せのオンボーディング施策による「見て覚えて」は機能しづらく、言語化して構造から理解させる必要があります。
「何で?何のために?」を言語化して伝達できると、新入社員も自ら考え行動できるようになります。
反対に、タスクだけを教える教育だと、指示待ち社員に。
株式会社パーソル総合研究所の2025年の就業意識調査では、継続就業意向・ワークエンゲージメントに影響する給与以外の要素の分布として、“特に20代では組織の透明性・納得性”が重視されていることが示されました。

2.現場がつまずきやすい3つのポイント
このセクションでは、オンボーディング担当者がつまづきやすいポイントを挙げていきます。
① “質問しにくい空気”を放置している
「わからないことあったら聞いてね」と言っていても、実は新入社員はそれだけでは相談しづらいということも。
失敗を恐れる特性から「今忙しそうだから質問したら迷惑かもしれない」などと、質問しない理由づけがいくらでも出てきてしまいます。
実際に聞いて良いタイミング・手段・粒度を明確にしてあげることで、相談・質問しやすい空気をつくることができます。
② OJT担当が“兼務で限界”になっている
オンボーディングを担当する時、OJT担当をつけることと思います。その時、成果を出している先輩社員に新人を任せがちではありませんか?
しかし優秀さと教えるスキルは別物です。成果を出す社員が、教える業務も兼務することで、もちろん成長機会になることもありますが、思うように成果を出せなくなり、従来のパフォーマンスが発揮できず担当者の意欲が削がれてしまうということも。
さらに、OJT担当がさらに成果を出すためにと実務を優先させてしまうと、新人への説明が雑になってしまいます。
③ 成長実感の提供が弱い
新入社員は、即時フィードバックを提供することで、成長実感・組織に対する自己充足感を得ることができます。
反対に「何をできるようになったか」を言語化して渡さないと、“自分って見よう見まねで現場に出ているけど、実際はOJTの実績で、自分は役に立ててないのでは”と不安になってしまうのです。
OJT担当者が新人の行動に対してすぐにフィードバックを出せるように心がけましょう。
3.今日からできる年末にやるべき施策
失敗ポイントがわかったところで、今から使えるオンボーディングのコツについてご紹介します。
1. 新人の役割を明記する
業務範囲・期待値・期限・相談窓口・進捗報告など、新人の役割を決めて提示しましょう。
期限を切ることで一定程度新人は相談しやすくなりますが、中間の進捗報告時間を設けることで、相談する場を強制的につくることができます。
2.新人のオンボーディングは職場単位でサポートする
OJT担当一人にオンボーディングを任せてしまうと、担当社員の負担が大きくなってしまいます。
新人の報告・相談相手に迷わないよう、OJTのメイン担当は1人設定するものの、職場全体で、OJTの業務サポートや、OJTの仕組み・ノウハウを共有する体制づくりをしましょう。
例えば、採用時に期待していた役割のマニュアルがあれば、職場全体で新人の期待役割や成長を見守ることができるようになります。
3.惜しみなくフィードバックする
入社すぐの社員だと、組織の全体像が見えづらく、目の前の作業が職場の役に立っているかどうかわからないまま業務にあたることにもなります。
良いと思ったことは理由も含めてフィードバックし、改善してほしいことは、理由に加えてゴールも含めてフィードバックするようにしましょう。
ただ褒める、叱るだけでは背景も理由もわからず、次に行うべき行動が迷子になってしまいます。
4. 若手の“理解した”を理解する
「できません」「わかりません」といった正直な感想は、職場に馴染む前の新人社員は発言しづらく、取り繕って「わかりました」「やってみます」といった前向きな発言をしてしまうこともあります。
OJT担当は、言葉尻だけで理解したと安心せず、実践すること内容や理解した考え方を自分の言葉で言えるか問いかけてみましょう。新人も理解した内容を言葉にして反芻することで、定着し、自分ごと化することができます。
4.オンボーディング施策としてのaso-bizの『謎解き研修』での事例
「謎解きやマダミス、ボードゲームってたかがゲームでしょ?遊ぶだけじゃ学びにならないのでは?」
とも限らないのがaso-bizのゲーミフィケーション研修です。
- 質問の仕方・役割分担・判断の根拠が自然と可視化される
- 「なぜその行動を取ったか」を全員が共有するため
→ 若手の思考特性・理解のクセがその場で浮き上がる - 上司が“説明不足になりやすいポイント”も明確
つまり、表向きはゲームといえど、実は遊びの中で構造化された行動観察ツールといえます。
12月から年度末に向けたオフサイトや決起会で取り入れると、職場単位での相互理解が進み、今後の育成計画が立てやすくなります。
5.まとめ:職場の受け入れ体制が“離脱”と“活躍”の分岐点
年末・年度末は、来春に新入社員が配属される前にオンボーディングを立て直すラストチャンス。
若手の離脱理由は、個人のメンタルや能力よりも“説明不足・見通しの欠如・相談導線の不整備”という環境要因が大きいです。
改善するには
- 若手の適性・強み・ポテンシャルを可視化
- チーム内の説明不足ポイントを可視化
- 担当者に任せすぎない
といった対策が必要です。年末の組織調整のタイミングに、「定着」と「育成」の土台を整えましょう。
6.ご紹介:展示会でサンプルを見て実感できます
aso-bizは、ゲームから行動特性を明らかにし、普段とは異なる自然な言動を引き出す研修を提供しております。
体験からしか得られない没入感や自己効力感は、ぜひその目でお確かめください。
2026年1月の人事向け展示会で研修サンプルをご覧いただけます。
展示会詳細
■会期:
2026年1月20日(火)9:30~18:00
2026年1月21日(水)9:30~16:00
■会場:パシフィコ横浜 展示ホールB
横浜市西区みなとみらい1丁目1−1
■ブース位置:採用・研修ソリューション展 6-15(会場中央付近です)
ブースでは…
- 謎解き研修で実際に使用しているサンプルをその場で見てお試し!
- 人事担当者様のお悩みに応じてその場でヒアリング提案!
代表ショートセッション(会場内)
会期中1月21日(水) 15:00〜15:40に同会場内で、4社合同の研修ショートセッションが開催されます。
2社目に株式会社集遊(aso-biz)の代表小川が登壇いたします。
ぜひ展示会でお試しください!
内定者フォローの仕組みをアップデートしたい、
オンボーディングの設計に迷っている、
若手の離職理由の「本音」が見えない——
そんな担当者にワクワクを提供するブースづくりをしております。
ぜひパシフィコ横浜の(株)集遊ブースへasobiにお越しください!
■展示会公式サイト
展示会公式サイト:https://dxpo.jp/real/box/yokohama/
■入場料:5,000円 ※入場事前申し込みで入場料が無料になります
事前申込:https://dxpo.jp/u/box/yokohama26/user/entry
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