
世代間で話が噛み合わない組織とは? ― 中間管理職が“板挟み”から抜け出すヒント集 ―

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辰巳 麻耶
2026年1月6日
「若手と話しても、どう話していいかわからない」
「上からは“育成を任せる”と言われるが、育成プランがままならない」
こうした悩みを抱えているリーダー・管理職層は少なくありません。
aso-bizのお客様からも実際に、考え方の違いやハラスメントの懸念から、部下や若手の育成に対する施策にはお手上げだ、といったお悩みをよく耳にします。
特にここ数年、世代間の価値観や働き方の違いが顕在化し、「コミュニケーションが噛み合わない」「意図が伝わらない」と感じる場面が増えているといいます。
ただし、こうした問題を個人のコミュニケーション能力や「Z世代は…」といった世代論だけで片づけてしまうと、根本的な解決にはつながりません。本記事では、世代間のすれ違い、いえ、あいた距離を「組織設計」の視点で捉え直し、中間管理職だからこそ担える役割と具体的な改善のヒントを整理します。
目次
1.世代間のすれ違いの正体とは?
世代間ギャップで一番怖いのは「年齢差」でもなければ単なる「価値観の違い」でもない!
世代間ギャップという言葉は便利で、それだけで言語化が完了した!と片付けてしまうこともよくあることでしょう。実際に現場で起きているのは世代が違うから、という数字や年齢の違いそのものではないケースが多くあります。また価値観の相違という言葉もよく言われていますが、価値観とは何でしょうか。
それではもう少し言葉を深掘りしていきましょう。世代間で異なることを考えてみてください。
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例えば、「経験」「育った環境」「金銭感覚」など。生きている時代も違えば当然価値観も変わるわけです。つまり世代間ギャップとは、「考え方の前提条件が異なる」とまとめることができそうですね。
ハラスメントやダイバーシティという言葉が普及したおかげなのか、多くの人が「価値観が違うからと言って自分の意見を押し付けない」「多様なあり方を認める」というスタンスを取ることができるようになったのはここ最近のことかなと思います。
それが今度は、かえってこれまで通りの教育や人間関係構築のやりかたが通用しなくなる原因となり、対策がないまま禁止事項だけが増えてがんじがらめになってしまっているのが、この世代間ギャップの要因です。
多様性を受け入れ、認めている、でもだからといってどうしていいのかわからない。
ではどうしたらいいのか。本題に入りましょう!
組織運営・業務オペレーションにおいて、では世代間ギャップで困ることはなんでしょうか。
1. 組織の成長・存続におけるリスク(技能と革新の停滞)
- 「暗黙知」が継承されない(技能伝承の断絶) ベテランが長年の経験で培った「勘・コツ・歴史的経緯」などの暗黙知が、若手に引き継がれないままベテランが退職してしまいます。マニュアルにはない重要なノウハウが失われ、組織力が低下します。
- イノベーションが起きなくなる ベテランの「経験・知見」と、若手の「新しい視点・デジタル感度」が掛け合わさることで新しいアイデアが生まれます。交流がないと、過去の成功体験だけでビジネスを進めることになり、変化に対応できなくなります。
2. 業務効率と生産性の低下(コストの増大)
- 「共通言語」がなくなり、調整コストが増える 「言わなくてもわかるだろう(阿吽の呼吸)」が通じないため、些細な確認や修正に膨大な時間がかかります。また、価値観の違いから対立が起きやすく、意思決定のスピードが鈍化します。
- 心理的安全性の欠如 「これを言ったら怒られるかも(若手)」「今の若手に何を言えばいいかわからない(ベテラン)」という疑心暗鬼が生まれ、報連相が遅れます。結果、トラブルが大きくなってから発覚することになります。
3. 人材の流出(エンゲージメントの低下)
- 若手の離職(見切り) 若手はロールモデル(将来の自分)を社内の先輩に見出します。交流がないと「この会社にいても成長できない」「将来が見えない」と感じ、優秀な若手ほど早期に見切りをつけて辞めてしまいます。
- ベテランの意欲低下(孤立) 自分の経験が必要とされていないと感じると、ベテラン層もモチベーションを失い、組織への貢献意欲(エンゲージメント)が下がります。
反対にこれらが共有されていれば、世代間の価値観が異なっていても組織は多様で若手も上司も活躍できる組織になる、ということになるのではないでしょうか…!
2.あなたの組織は大丈夫?【すれ違いチェックリスト】
まずは、自社組織の状況を客観的に確認してみましょう。
□ 「なるはやで」の解釈が、上司(今すぐ)と若手(今日中ならOK)で数時間のズレがある。
□ 上司が「昔はこうだった」と話し始めると、若手のPCタイピング音が大きくなる(または無表情になる)。
□ 会議中、発言するのは特定のベテラン社員だけで、全体の8割を占めている。
□ 若手からのチャット連絡に対し、上司がわざわざ電話をかけ直したり、席まで行って返事をする。
□ 「自由に意見を言って」と言ったのに、いざ若手が提案すると「それは前例がない」と即却下される。
□ マニュアルのない業務を頼むと、若手がフリーズするが、上司は「見て盗め」と思っている。
□ 飲み会の案内を出した際、若手から「業務時間外ですか?」「残業代出ますか?」という空気が漂う。
□ 上司の雑談(プロ野球やゴルフ)に若手が全くついてこれず、通訳(あなた)が必要になる。
□ トラブルが起きた時、若手はチャットで報告、上司は「なぜすぐに言いに来ない!」と激怒する。
□ 役員と若手が直接話しているのを見た記憶が、ここ1ヶ月ない。
いかがでしたか?チェックの個数で診断結果をみてみましょう!
診断結果:あなた(中間管理職)の負担度レベル
チェックの数に応じて、組織の危険度と、中間管理職にかかっている負荷を判定します。
- 0〜2個:【安全圏】 風通しの良い組織です。あなたの橋渡しが機能しています。
- 3〜6個:【黄色信号】 「隠れ板挟み」予備軍。あなたが無意識にクッションになって耐えている状態です。
- 7個以上:【赤信号】 組織的分断が発生中。このままだと、若手の離職か、あなたのメンタルが先に限界を迎えます。
3.板挟みは「最強のポジション」? 管理職だからできる3つの処方箋

「うちの組織、チェックリストに当てはまりすぎている…」 そう感じて、胃が痛くなった方もいるかもしれません。しかし、どうか落ち込まないでください。
世代間のズレを生み出しているのは、管理職であるあなたではありません。 むしろ、そのズレを誰よりも正確に把握し、調整できる唯一のポジションにいるのがあなたなのです。
ただの「板挟み」ではなく、組織の「翻訳家」として、管理職だからこそできる3つのアプローチがあります。
① 「期待値」を翻訳して言語化する
あなたは、経営層の「上位方針(理想)」と、現場の「制約や若手の不安(現実)」の2つを同時に見ているはずです。 上司の「よしなにやってくれ」という曖昧な指示を、そのまま若手に流していませんか? 若手は「正解」を求めがちです。
- 「何を期待しているのか(Go)」
- 「どこまでは任せるのか(No Go)」 この境界線を言葉にして整理できるのは、両者の事情を知るあなただけです。
② ルールではなく“前提”を揃える
マニュアルや評価制度はあっても、現場には書かれていない「暗黙の了解」が存在します。 ベテランにとっての常識は、若手にとっての非常識かもしれません。
- 相談すべきタイミング(困ってから? 困る前?)
- 判断してよい範囲(事後報告でいい? 事前確認必須?)
- 失敗が許されるライン(致命傷以外はOK? 1ミリも許さない?) こうした「仕事の前提(OS)」を最初に合わせておくことで、後々の「なんでこうなった!」というトラブルを未然に防げます。
③ 世代を越えた「共通体験」を設計する
言葉だけで「価値観を合わせよう」と言っても、長年生きてきた背景が違う以上、限界があります。 必要なのは、会議室での説教ではなく、「同じ課題に取り組む体験」です。一緒に汗をかき、一つのゴールを目指すプロセスの中でこそ、お互いの「得意なこと」や「考え方の癖」が自然と見えてきます。
4.対話の前に「ズレ」を可視化する仕掛け
では、具体的にどうやって「共通体験」を作ればいいのでしょうか?
「もっと腹を割って話そう」「1on1を増やそう」 こうした施策も大切ですが、前提(OS)が共有されていない状態で対話を重ねても、言葉が通じず、かえって疲弊してしまうことがあります。
重要なのは、話す前に、何がズレているのかを“見える化”するフェーズを挟むことです。
ビジネスの縮図を作る
有効なのは、日常業務から少し離れた場所で、以下のような環境を意図的に作ることです。
- 正解が一つではない課題
- 情報量にチーム内で差がある状況
- 協力しなければ絶対にクリアできない設計
こうした環境下では、年齢や役職といった「肩書き」が通用しません。純粋に「どう動くか」という人間性が現れます。
アソビズの「謎解き研修」が機能する理由
ここで、私たちアソビズが提供するゲーミフィケーション研修(謎解き)が一つのヒントになります。 私たちの研修では、単なるレクリエーションではなく、意図的に以下の要素を組み込んでいます。
- 情報の偏り(Aさんしか知らない情報がある)
- 役割の曖昧さ(誰がリーダーか決まっていない)
- 判断を迫られる状況(時間制限というプレッシャー)
このゲーム空間の中では、「誰が主導権を握るのか」「困った時に誰に相談するのか」「リスクをどう判断するのか」といった、普段の業務では見えにくい思考や行動のクセが浮き彫りになります。
「あ、部長はこういう時に慎重になるタイプなんだ」 「新人の〇〇君は、意外と情報の整理が得意なんだな」
行動そのものを起点にするからこそ、説教臭くならずに、世代間の違いを「個性」としてポジティブに発見できるのです。
5.まとめ
世代間交流は“場づくり”ではなく“設計”
世代間のすれ違いは、放置すればするほど溝が深まり、最終的には中間管理職であるあなたの負担としてのしかかってきます。
しかし、これは個人のコミュニケーション能力の問題ではありません。構造の問題です。
- 言葉にして前提を揃える
- 業務外で共通体験を設計する
- 理屈ではなく行動から対話を生む
こうした「仕組み」を取り入れることで、組織の風通しは劇的に改善します。あなたが一人で板挟みに耐える必要はもうありません。
アソビズでは、謎解き研修を通じて組織の見えない「ズレ」を可視化し、自然な対話につなげる設計を行っています。 「飲み会以外の交流方法を探している」「若手の本音がわからない」といった課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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